肺がんステージ4 ― 症状・治療・余命
- 院長 永井 恒志

- 11月4日
- 読了時間: 6分

肺がんの中でも「ステージ4」と診断された場合、多くの患者さんやご家族は「もう治療ができないのでは…」という不安に直面します。
しかし、現代のがん治療では、ステージ4であっても進行を抑え、生活の質を保ちながら生きることが可能な時代になっています。
本記事では、肺がんステージ4の状態、症状、治療法、そして余命や生存率について解説します。
ステージ4肺がんとはどのような状態か?
ステージ4とは、肺がんが他の臓器に遠隔転移している状態を指します。 具体的には以下のような部位への転移が見られます。
・脳
・肝臓
・骨
・副腎
・反対側の肺や胸膜
この状態では、がんを「完全に取りきる」ことが難しくなり、手術の対象外となることがほとんどです。
ステージ4肺がんの主な症状
ステージ4肺がんの症状は、原発巣(肺)によるものと、転移先によるものに分けられます。
原発巣による症状:
・長引く咳や血痰
・息切れ、呼吸困難
・胸の痛み
転移による症状:
・脳転移:頭痛、けいれん、意識障害、視覚異常
・骨転移:背中や腰の痛み、骨折しやすくなる
・肝転移:食欲不振、黄疸、腹水
・全身症状:体重減少、倦怠感、発熱
※症状の程度や組み合わせは個人差があります。
肺がんの種類と悪性度
肺がんステージ4の治療や進行のスピードは、「がんのタイプ」によっても異なります。
非小細胞肺がん(NSCLC) | 比較的進行が遅く、治療法の選択肢が多い(約85%を占める) |
小細胞肺がん(SCLC) | 急速に進行し転移しやすいが、初期の化学療法に反応しやすい(約15%) |
同じステージ4でも、非小細胞肺がんなら数年以上の長期生存も望める場合があります。
ステージ4 肺がんの治療方法 ― 完治よりも「コントロール」を目指す
ステージ4ではがんを完全に取り除くことは難しいですが、「進行を抑えて長く生きる」ことを目標とした治療が可能です。
①抗がん剤治療
・複数の薬剤(プラチナ製剤など)を組み合わせる
・初回治療で効果が出ることも多い
②分子標的薬
・EGFR、ALK、ROS1などの遺伝子変異がある場合に適応
・副作用が比較的少なく、内服での長期治療が可能
③免疫チェックポイント阻害薬
・免疫のブレーキを外すことで、がんを攻撃しやすくする
・非小細胞肺がんの一部に有効(オプジーボ、キイトルーダなど)
当院の治療:免疫チェックポイント阻害剤とは
④緩和ケア・在宅医療
・痛みや息苦しさ、不安を和らげる医療
・自宅での穏やかな生活を支援
肺がん(ステージⅣ)の治療症例
当院はがん免疫療法を専門とするクリニックとして、がんステージ4の患者様の治療も行っています。以下に一部症例を記載しています。
化学療法と当院の免疫療法併用により肝転移巣が消失した症例 状況:肺扁平上皮がん 多発肝転移、両側副腎転移、骨転移(StageⅣ) 治療効果:肝転移巣が消失し、肺原発巣が縮小した。17カ月後でも維持。 治療内容:化学療法と当院のWT1樹状細胞ワクチン+イピリマブ(ヤーボイ)点滴
ステージ4 肺がんの余命と生存率
あくまで統計上の目安ではありますが、以下のように報告されています。
非小細胞肺がん(ステージ4):5年生存率 約5〜15%
小細胞肺がん(進展型):5年生存率 約1〜2%
分子標的治療や免疫療法が適応される場合:数年以上の延命が可能な例もあります
近年は「がんと共に生きる」時代となり、ステージ4であっても1年、2年、3年と延命が可能になってきており、進行を抑えながら慢性疾患のようにコントロールしていく治療が注目されています。

上のグラフは、当院におけるがん免疫療法の進行抑制率を示したものです。
患者様ごとに治療効果は異なりますが、「なすすべがない」と諦める前に、免疫療法という選択肢があることを知っていただきたいと考えています。
\ 今できることは?/
患者様とご家族ができること

納得のいく治療方針を話し合う(主治医やセカンドオピニオンの活用)
痛みや不安は我慢せず医療者に伝える
可能であれば体力維持のための軽い運動や食事管理
家族のサポート体制を整える
治療のゴールは、「その人らしい日々を、なるべく長く保つこと」です。
まとめ:がんと共存する選択肢
ステージ4という言葉に過剰におびえる必要はありません。
今の医療には、がんを完全に消すのではなく、がんと共存しながら生活するという選択肢もあります。症状を抑えながら穏やかな日々を重ねることも、立派な治療成果です。
肺がんの治療に関して、お気軽にご相談ください。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など 患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
\ 初回医療相談が無料です。/

■記事監修
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
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