NKT三種複合免疫療法
NKT三種複合免疫療法とは
末梢血単核細胞(PBMC)を用いたNKT三種複合免疫細胞療法は、患者自身の免疫細胞を採取し、NKT細胞、CD8⁺ T細胞(キラーT細胞)、およびNK細胞の3種類の免疫細胞を選択的に増殖・活性化させた後に体内へ戻す治療法です。
この治療法は、各免疫細胞の特性を活かし、相乗効果によって癌や感染症などの疾患治療を目指す先進的なアプローチです。
NKT細胞の役割と癌治療における効果
NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)は、自然免疫と獲得免疫をつなぐ特異な免疫細胞です。この細胞は、特定の糖脂質抗原を認識する受容体を持ち、速やかにインターフェロン-γやIL-4などのサイトカインを分泌します。その結果、他の免疫細胞(NK細胞やCD8⁺ T細胞)の活性化を促進し、腫瘍に対する強力な免疫応答を引き起こします。
さらに、NKT細胞は長期的な免疫記憶を有することが特徴です。これにより、一度活性化されたNKT細胞が体内に残存し、再発や新たな腫瘍に対しても迅速に免疫応答を引き起こす能力を持ちます。
この長期的な免疫監視機能は、従来の治療法と比較して持続的な抗腫瘍効果を期待させる重要なポイントです。
癌治療におけるNKT細胞の主な効果は以下の通りです。
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直接的な腫瘍細胞の攻撃
NKT細胞は腫瘍細胞を直接攻撃し、その増殖を抑制します。
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免疫システム全体の活性化
他の免疫細胞を強力に活性化させ、腫瘍微小環境の免疫抑制状態を打破します。
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腫瘍の血管新生抑制
腫瘍への血液供給を制限することで、間接的に腫瘍の進行を妨げます。
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長期的な免疫記憶による再発抑
NKT細胞が体内に残存し、腫瘍の再発や新たな腫瘍形成を抑制します。
NKT細胞の培養の課題と当院の独自技術
NKT細胞の培養は技術的に難しいとされ、以下の課題があります。
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細胞数の希少性
NKT細胞は末梢血中にごく少量しか存在せず、効率的に増殖させることが困難です。
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特異的な刺激条件の必要性
NKT細胞を増やすには、特定の糖脂質抗原やサイトカインによる適切な刺激が必須であり、最適条件の確立が難しい場合があります。
しかし、当院では独自に開発した培養技術を活用することで、NKT細胞の増殖に成功しました。この技術では、特定の培養環境と免疫刺激因子の独自の組み合わせを用い、NKT細胞の数と活性を従来の方法に比べて大幅に向上させることが可能です。
NKT三種複合免疫細胞療法の特徴
NKT三種複合免疫細胞療法では、NKT細胞に加え、以下の免疫細胞を活用します。
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CD8⁺ T細胞
腫瘍抗原を特異的に認識し、腫瘍細胞を直接殺傷します。NKT細胞による活性化を受けることで、さらに高い効果が期待されます。
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NK細胞
自然免疫に属する細胞で、腫瘍細胞やウイルス感染細胞を直接的に攻撃します。NKT細胞からのサイトカインシグナルを受け、その腫瘍殺傷能力が強化されます。
三種複合免疫療法の費用
三種複合免疫細胞療法の費用は572,000円(税込)となっています。
まとめ
NKT三種複合免疫細胞療法は、NKT細胞を中心とした免疫細胞群を活性化し、癌に対する包括的な免疫応答を引き起こす治療法です。特にNKT細胞の長期的な免疫記憶を活用することで、再発抑制や持続的な治療効果が期待されます。
当院の独自技術によるNKT細胞の増殖成功により、より多くの患者さんにこの先進的な治療法を提供できるようになりました。免疫細胞それぞれの特性を最大限に引き出すことで、患者さんのQOL(生活の質)の向上を目指し、新たな治療の選択肢を提供しています。