膀胱癌 Stage Ⅲを知る — ステージ分類、治療選択、最先端免疫療法
- 院長 永井 恒志

- 10月16日
- 読了時間: 4分
更新日:10月22日

膀胱癌(ぼうこうがん)は、膀胱の内側を覆う尿路上皮から発生するがんが大部分を占めます。進行度(ステージ)は「どのくらい深く膀胱の壁に入り込んでいるか」「周囲やリンパ節に広がっているか」で決まります。
ここでは 膀胱癌 Stage Ⅲ の特徴、治療法、そして今後注目される免疫療法についてわかりやすく解説します。
膀胱癌のステージ分類
膀胱癌の進行度は TNM分類 で表されます。
Stage 0 -Ⅰ:粘膜内、または粘膜下まで
Stage Ⅱ:筋層に浸潤
Stage Ⅲ:膀胱の外側の脂肪組織(傍膀胱脂肪織)や、前立腺・子宮・膣に浸潤
Stage Ⅳ:リンパ節や遠隔臓器(肺・肝臓・骨など)へ転移
Stage Ⅲ は「膀胱の外にまで広がっているが、まだ遠隔転移はない」状態です。
Stage Ⅲ 膀胱癌の症状
頻尿、血尿(進行とともに持続的になる)
下腹部の違和感や痛み
腫瘍が大きい場合、排尿困難
症状が出る頃には、すでに筋層を超えて進行しているケースが多くなります。
Stage Ⅲ 膀胱癌の標準的な治療法
Stage Ⅲでは、局所進行癌 として「根治的治療」と「補助療法」が組み合わされます。
手術
膀胱全摘除術(radical cystectomy) 膀胱を取り除き、尿路再建(回腸導管や新膀胱)を行います。
周囲のリンパ節も一緒に切除するのが基本。
抗がん剤(化学療法)
シスプラチンを含む多剤併用療法(例:GC療法〔ゲムシタビン+シスプラチン〕)
術前(ネオアジュバント)化学療法を行うと、5年生存率が約5~10%向上すると報告されています。
放射線療法
膀胱を温存したい場合や手術が難しい場合に選択されます。
化学療法と併用する「化学放射線療法」が一般的。
免疫療法の役割
近年、膀胱癌において 免疫チェックポイント阻害剤(ICI) が大きな役割を果たすようになっています。
ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体) 再発や転移膀胱癌において承認され、長期生存例も報告されています。
アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体) 一部の膀胱癌で有効性が認められています。
さらに、当院で推奨している NKT細胞を軸とした免疫療法(αGalCer樹状細胞ワクチン療法、NKT細胞の補充療法)は、従来のICIとは異なる仕組みで腫瘍免疫を強化します。
αGalCer樹状細胞ワクチン:NKT細胞を強力に活性化し、がん抗原に対するT細胞応答を増強
NKT細胞の補充療法(商品名:NKT三種免疫細胞療法):患者さん自身のNKT細胞を増やして戻し、がんに対する即効的かつ持続的な免疫反応を誘導
論文報告では、NKT細胞が膀胱癌患者の予後に関与することが示されており、腫瘍浸潤NKT細胞が多い患者は長期生存しやすいとされています。
当院の治療
まとめ
Stage Ⅲ膀胱癌は、膀胱の外へ広がっているが遠隔転移はない段階。
標準治療は 膀胱全摘+化学療法、または 化学放射線療法。
免疫チェックポイント阻害剤が再発例で有効。
NKT細胞を用いた免疫療法は新しい治療選択肢として注目され、当院でも積極的に導入しています。
当院はがん免疫療法専門のクリニックです。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、転移がんや進行がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
-がん治療・免疫療法について-

■記事を書いた人
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。





