がんステージ4 ― なぜ手術ができない?理由と治療選択肢
- 院長 永井 恒志
- 6月20日
- 読了時間: 6分
更新日:11月18日

「ステージ4のがん」と聞くと、多くの方が「もう治らないのでは」「手術できないってどういうこと?」と強い不安を感じるかもしれません。しかし、がん医療の進歩により、ステージ4=絶望という時代ではなくなってきています。
このコラムでは、「ステージ4」とはどのような状態なのか、なぜ手術が難しいのか、そして治療の選択肢について、わかりやすく解説します。
がんのステージとは?
がんの「ステージ」は、その進行度を表す指標で、一般的にステージ0〜4まであります。 ステージが進むほど、がんが大きくなっていたり、他の臓器に転移していたりする状態を示します。
ステージ0〜1 | がんは原発巣(最初にがんができた場所)にとどまっており、小さい。 |
ステージ2〜3 | がんが周囲の組織やリンパ節に広がっている。 |
ステージ4 | がんが「遠隔転移」している状態。つまり、血液やリンパの流れに乗って、肝臓、肺、骨、脳など、別の臓器にまで広がっている場合です。 |
ステージ4のがんはなぜ手術ができないのか?
がん治療において「手術」は、がんを根本的に取り除く方法ですが、ステージ4になるとそれが困難になります。 主な理由は以下の通りです。
転移が複数箇所に及ぶ
一部のがんを切除しても、他の臓器に残っている転移をすべて取り除くのは現実的に不可能なケースが多くあります。
体力とリスクのバランス
手術そのものが大きな身体的負担になるため、回復が難しいと判断される場合もあります。
手術の「意味」が薄れる
たとえ原発巣を切除しても、転移したがんが原因で病状が進行するため、延命や症状改善にあまり寄与しないと判断されるケースがあります。
がんステージ4でも「治療」はできる

ステージ4だからといって、治療ができないわけではありません。 むしろ、患者様の状態やがんの性質に応じて、さまざまな治療法が選択されます。
抗がん剤治療(化学療法)
がん細胞の増殖を抑えるために全身に作用する薬剤を使います。がんの種類によっては高い効果が期待できます。
分子標的薬
がん細胞特有の遺伝子変異やタンパク質を狙い撃ちする薬。副作用が比較的少なく、特定のがんには非常に有効です。
免疫チェックポイント阻害剤(免疫療法)
がん細胞によって抑えられている免疫機能を回復させ、自分の免疫でがんと戦う方法です。近年、肺がんや皮膚がん(悪性黒色腫)で成果が上がっています。
当院の治療:免疫チェックポイント阻害剤
緩和医療
がんそのものを治すのではなく、痛みや呼吸困難などの症状を和らげ、生活の質(QOL)を保つことを目的とした医療です。
がん種ごとのステージ4の5年生存率(参考値)
以下は日本における代表的ながんのステージ4の5年生存率(国立がん研究センターより)です。
膵臓がん | 約2〜3% |
胃がん | 約10〜20% |
肺がん(非小細胞) | 約5〜15% |
大腸がん | 約15〜20% |
子宮がん | 約20% |
乳がん | 約30%前後 |
※数値はあくまで平均的なものであり、年齢、体力、治療内容によって大きく変わる可能性があります。
各種がん ステージ4に関するコラム:
ステージ4 の余命と生存率
近年は「がんと共に生きる」時代となり、ステージ4であっても1年、2年、3年と延命が可能になってきており、進行を抑えながら慢性疾患のようにコントロールしていく治療が注目されています。

上のグラフは、当院におけるがん免疫療法の進行抑制率を示したものです。
患者様ごとに治療効果は異なりますが、治療を諦める前に、免疫療法という選択肢があることを知っていただきたいと考えています。
希望を持つことの大切さ
ステージ4のがんであっても、今や「がんと共に生きる時代」です。治療によりがんを慢性疾患のようにコントロールできるケースも増えてきました。大切なのは、「今できることを、確実に選択する」という前向きな姿勢です。
患者様一人ひとりにとって最適な治療法は異なります。 治療選択に迷ったときは、主治医とじっくり相談し、必要であればセカンドオピニオンも活用してください。
当院はがん免疫療法専門のクリニックです。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、転移がんや進行がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。

■記事監修
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。
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