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がんの治療法がないと言われたら|希望をつなぐ選択肢

  • 執筆者の写真: 院長 永井 恒志
    院長 永井 恒志
  • 4月28日
  • 読了時間: 4分


「これ以上、できる治療はありません」


医師からそう言われたとき、患者さんやご家族は深い絶望に包まれることがあります。でも、本当に「もう何もできない」のでしょうか?


結論から言えば――答えはNOです。


たとえ標準治療が尽きたとしても、心と体を支える方法、希望をつなぐ選択肢はまだ残されています。


本記事では、がんの「治療法がない」と言われたときにこそ考えたいこと、できることを丁寧にご紹介します。

銀座鳳凰クリニック院長 永井恒志
■執筆者
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。




がんの「治療法がない」とはどういう意味か?


医師が「治療法がない」と伝えるとき、それは以下のような状況を指していることがあります。


  • がんが手術できない状態に進行している

  • 抗がん剤や放射線治療の効果が期待できない

  • 全身状態が悪く、治療に耐えられない

  • 標準治療(ガイドラインに基づいた治療)が尽きた


つまり、「いま医学的に確立された“根治治療”がもう難しい」ということであり、「すべてをあきらめてください」という意味ではありません




治療法がない=すべてを諦めるべきではない


実際には、以下のような選択肢が今でも可能です。



セカンドオピニオンを受けてみる


医師の判断が正しいか、自分の理解が合っているかを確認するためにも、別の医療機関や専門医に意見を求める“セカンドオピニオン”は非常に有効です。


  • がん専門病院では、異なる治療戦略や治験の紹介があることも

  • 特定のがんに強い専門家で、新しい治療法を知っている可能性


セカンドオピニオンは「迷いや希望を整理する行為」として、多くの方が利用しています。



臨床試験(治験)への参加


標準治療が効かない方を対象とした、新薬や先進治療の試験が数多く行われています。


  • 新しい免疫療法、分子標的薬、ウイルス療法などが対象

  • 希望すれば全国のがんセンターや大学病院の治験を紹介してもらえることも


「最後のチャンス」ではなく、「次の一歩」として前向きに検討する価値があります。



自由診療の免疫療法・代替療法


保険外で行われている医療の中には、標準治療の後に用いられることを想定した免疫細胞療法、樹状細胞ワクチン療法、温熱療法などがあります。


  • 効果は個人差があり、費用もかかりますが、身体への負担が比較的少ない治療法もあります

  • 導入にあたっては、医学的根拠のある施設を選ぶことが大切


「標準治療と並列ではなく、補完・延命・QOL向上の手段」として考えましょう。




緩和ケアというもう一つの“積極的な治療”


「治療がない」と言われたとき、多くの方が「緩和ケア=何もせず、ただ待つだけ」と誤解します。


しかし実際は、緩和ケアこそが“今をよりよく生きるための医療”です。


  • 痛み、吐き気、呼吸苦、不安、眠れない――そんなつらさを和らげる

  • 家族との時間を大切にするサポートをしてくれる

  • 終末期だけでなく、治療中でも併用できるのが現代の考え方


「最期まで自分らしく生きる」ことを支える、“もうひとつの医療”として再評価されています。




心が折れそうなとき、支えてくれる人がいます


治療法がなくても、「支える医療」はなくなりません。がんと向き合うあなたのために、多くの支援があります:


  • 緩和ケア医・がん看護専門看護師

  • 臨床心理士・がん相談支援センター

  • 医療ソーシャルワーカー

  • がん経験者によるピアサポート


ひとりで抱え込まず、「話していい」「頼っていい」――それもまた、大切な“生きる力”です。




まとめ:「治療法がない」からこそ、自分らしい生き方を選ぶ


「治療法がない」と言われたとき、それは「命のカウントダウン」ではなく、「生き方を見つめ直す時間のはじまり」かもしれません。


今できることは、

  • 他の可能性を探してみる(セカンドオピニオン、治験)

  • 心と体を整える治療(緩和ケア)

  • 自分らしい生き方を考える(家族との時間、好きなことをする)


あなたには、まだできることがたくさんあります。その“選択する力”を支えるために、医療者も、社会も、そばにいます。


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