虫垂がんの進行速度 ― 見逃されやすいがんの特徴と早期発見の大切さ
- 医師 金井 信雄

- 5 日前
- 読了時間: 6分

虫垂(ちゅうすい)とは、いわゆる「盲腸(もうちょう)」の先にある細い袋状の部分のことです。
一般的には「虫垂炎(盲腸炎)」として知られていますが、実はごく稀に虫垂にがん(虫垂がん)ができることがあります。
虫垂がんは全消化管の悪性腫瘍のうち1%未満とされる非常にまれながんですが、進行が早いタイプもあり、注意が必要です。
虫垂がんとは?
虫垂がんは、虫垂の内側(粘膜)にある細胞ががん化して増殖する病気です。発生する細胞の種類によって、大きく以下のように分けられます。
通常型腺がん(せんがん):最も多く、組織学的には大腸がんに似ています。
粘液性腫瘍(粘液性腺がん・低悪性度粘液性腫瘍):お腹の中に粘液をためやすい
カルチノイド腫瘍(神経内分泌腫瘍):比較的進行が遅いタイプ
印環細胞がんや低分化型腺がん:悪性度が高く、進行が速い
虫垂がんといっても、「ゆっくり進むタイプ」と「早く進むタイプ」が存在するのが特徴です。
虫垂がんの進行速度はどのくらい?
虫垂がんの進行速度は、がんの種類と悪性度によって大きく異なります。
病理タイプ | 進行の速さ | 特徴 |
カルチノイド腫瘍(NET) | ゆっくり | 小さいうちは転移が少ない。数年単位で進行することも。 |
粘液性腺がん(低悪性度) | 中程度 | 腫瘍が破れると腹腔内に粘液が広がり、「腹膜偽粘液腫」を起こすことがある。 |
高分化型腺がん | やや遅い | 比較的ゆっくり進行。手術での根治が期待できる。 |
低分化型腺がん・印環細胞がん | 速い | リンパ節・腹膜・卵巣などに早期から転移しやすい。 |
つまり「虫垂がん=進行が速い」とは限りませんが、一部のタイプは短期間で進行するため、早期発見がとても大切です。
症状が出にくく、虫垂炎と間違われやすい
虫垂がんは初期にはほとんど症状がありません。進行すると、次のような症状が出ることがあります。
右下腹部の痛み
腹部のしこり
下痢や便秘などの排便異常
お腹の張り(腹水・粘液貯留)
体重減少
ただし、初期には「虫垂炎」と区別がつかないことが多く、手術で虫垂を切除した後に病理検査でがんとわかるケースも珍しくありません。
そのため、高齢者の虫垂炎や再発を繰り返す虫垂炎の場合は、虫垂がんの可能性を考えることが重要です。
進行した虫垂がんの特徴
進行が速いタイプの虫垂がんでは、次のような広がり方をします。
腹膜(お腹の内側)に粘液やがん細胞が散らばる(腹膜播種)
卵巣や大腸への転移
肝臓転移
特に「腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei)」という状態になると、お腹の中がゼリー状の粘液で満たされ、手術でも取り切れなくなることがあります。この状態では、がんの進行は比較的ゆっくりでも、腫瘍が物理的にお腹の臓器を圧迫するために症状が出てしまいます。
虫垂がんの治療と今後の展望
治療の基本は手術ですが、進行例では再発防止や免疫力強化を目的とした治療も検討されます。
標準治療:虫垂切除+右半結腸切除(リンパ節を含めて切除)
進行例:化学療法(大腸がんに準じた抗がん剤)
腹膜偽粘液腫:腹膜切除+温熱化学療法(HIPEC)など
さらに、近年では免疫療法も注目されています。特に虫垂がんの中には粘液性腺がんや印環細胞がんなど免疫逃避能が高いタイプがあり、これらに対してはαGalCer-樹状細胞療法+NKT三種免疫細胞療法のように「NKT細胞を活性化してがんを攻撃する治療」が有効な可能性が報告されています。この治療は、腫瘍免疫を全身的に高め、再発抑制や長期生存に寄与することが期待されています。
当院の治療
虫垂がん ― 進行の速さを知り、早期発見につなげる
虫垂がんはとても稀ながんですが、種類によっては進行が早く、腹膜や他の臓器に広がることもあります。初期には症状がほとんどなく、虫垂炎と見分けがつきにくいため、発見が遅れることが少なくありません。
一方で、早期に見つかれば手術で治癒を目指せるケースも多く、予後(よご)を大きく改善できる可能性があります。
最近では、手術や抗がん剤治療に加えて、免疫療法など新しい治療の選択肢も広がってきています。特にNKT細胞を活性化させるαGalCer-樹状細胞療法やNKT三種免疫細胞療法は、再発を抑える力を持つ可能性が報告されており、今後の研究が期待されています。
もし「虫垂炎を何度も繰り返す」「原因不明の右下腹部痛やお腹の張りが続く」といった症状がある場合は、念のためCTやMRIなどの精密検査を受けておくと安心です。
虫垂がんは、早く見つけて適切に治療すれば、十分にコントロールできるがんです。
早期発見と丁寧な経過観察が、何より大切です。
当院はがん免疫療法専門のクリニックです。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、転移がんや進行がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
― ステージ4・末期がんでも諦めない免疫治療 ―
TEL:03-6263-8163

■記事監修
銀座鳳凰クリニック医師
金井 信雄
医師・医学博士。順天堂大学革新的医療技術開発研究センター客員准教授。消化器外科で多くのがん治療を経験後、再生医療の基礎研究開発から日欧共同の臨床研究開発を推進してきた。当院では、これまでの外科的経験と最先端の細胞医療を融合し、患者様一人ひとりに最適な医療を提供している。









