30代でもがんになる? ― 若い世代が知っておきたい「がんの確率」と予防法
- 医師 柳井 啓文

- 11月20日
- 読了時間: 5分
更新日:7 日前

「がんは年をとってからなる病気」――そう思っていませんか?確かにがんは高齢になるほど発症率が高くなります。
しかし、近年は30代・40代でがんを経験する人が少しずつ増えていることが指摘されており、それは当院に相談にこられる患者層を見ても実感として感じていることでもあります。
ここでは、30代でがんになる確率や、今からできる予防のポイントをわかりやすく解説します。
30代でがんになる確率は?
国立がん研究センター(日本のがん統計 2023)によると、「30歳から39歳の10年間」でがんになる人の割合(罹患リスク)はおよそ次の通りです。
男性:約0.6%(約160人に1人)
女性:約1.1%(約90人に1人)
つまり、30代でがんを経験する人は「少数派」ではありますが、決して“ゼロではないのです。
特に女性では、乳がん・子宮頸がん・甲状腺がん、男性では消化器系のがんなど、比較的若い世代に多いタイプのがんがあります。
近年では20代後半〜30代前半の乳がんも増えており、「仕事や子育てに忙しい時期に突然の診断を受ける」というケースも少なくありません。
若い世代のがんが増えている理由
なぜ若い世代でもがんが増えているのでしょうか?

主な理由として次のような要因が考えられています。
食生活や生活リズムの乱れ(加工食品・夜更かし・ストレスなど)
喫煙・飲酒の影響
ウイルス感染(HPVによる子宮頸がん、肝炎ウイルスによる肝がんなど)
妊娠・出産の高齢化やホルモンバランスの変化
遺伝的要因(家族にがんの既往がある場合)
このように、「生活習慣」と「感染」「遺伝」が重なることで、若くてもがんが発症するリスクが高まると考えられています。
また他の要因としては、診断技術の向上(早期がん発見のために様々な手法が提案されています)、検診受診年齢の低下などが考えられます。
今からできる“がん予防の5か条”
がんの約半数は「生活習慣の改善」で予防できるといわれています(WHO,2020)。30代から意識しておきたいポイントを5つ挙げます。
禁煙・節酒
タバコは、がんの最大の原因。アルコールの飲みすぎはリスクを高めます。
食生活の見直し
野菜・果物・魚をバランスよく。加工肉や脂っこい食事を控えましょう。
体重管理と運動
肥満は大腸がん・乳がん・子宮体がんなどの危険因子。週150分程度の有酸素運動が目安と言われています。
定期検診の受診
乳がん・子宮頸がん・胃がん・大腸がん検診などは、早期発見の鍵。30代からでも「自分のための検診習慣」を。
ウイルス感染の予防
HPVワクチンや肝炎ウイルスの検査・治療は、がんのリスクを大きく減らします。
関連コラム:ワクチンと免疫:がん予防との関係
免疫力を整えることも大切
がんを防ぐ力のひとつに「免疫」があります。免疫システムがしっかり働いていると、体内で生まれる“異常な細胞”を早く排除できます。
ところが、ストレスや睡眠不足、腸内環境の乱れなどが続くと、免疫の働きが弱まり、がん細胞を見逃しやすくなります。
近年、免疫を整えてがんを予防・再発防止につなげる研究が進んでいます。
当院では、樹状細胞やNKT細胞といった「がんを監視する細胞」「がんを見つけて攻撃する免疫細胞」を使ったがんの治療に力をいれてきました。近年では、がんの治療だけでなく“がんになりにくい体づくり”にも応用できる可能性が示唆されています。
当院の治療
まとめ:30代から始める「自分を守る習慣」

30代は、まだまだ体力もあり、健康を意識することが少ない時期です。しかし、がんは静かに、ゆっくりと、何年もかけて進行します。「今は元気だから大丈夫」ではなく、「今からできる予防」こそが将来の安心につながります。
バランスのよい食事
睡眠とストレスケア
定期的な検診
そして“免疫力を整える生活”
この4つを心がけることが、がん予防の第一歩です。
当院はがん免疫療法専門のクリニックです。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、転移がんや進行がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
― ステージ4・末期がんでも諦めない免疫治療 ―
TEL:03-6263-8163

■記事監修
銀座鳳凰クリニック医師
柳井 啓文
医師・医学博士。救急・集中治療医としてドクターヘリなどの救命最前線で重症患者の治療に携わる一方、オーストラリアで基礎・臨床研究に従事し複数の国際研究グループを主導、100編超の英語論文を発表。救急現場で培った判断力と先端研究で得た科学的視点を併せ持ち、再生医療・細胞治療の医療実装を推進している。





