口腔がんは進行が早いって本当? ― 早期発見の大切さと最新の治療法
- 医師 柳井 啓文

- 10月28日
- 読了時間: 5分
更新日:10月30日

口腔がん(こうくうがん)は、舌・歯ぐき・頬の内側・口の底(舌の下)など、口の中にできるがんの総称です。
「進行が早い」と言われることもありますが、なぜそう言われるのか、そしてどんな治療が行われるのかをご紹介します。
口腔がんはなぜ“進行が早い”といわれるのか
口の中は、食事や会話で常に刺激を受ける場所です。そのため、炎症や傷と区別がつきにくいという特徴があります。また、口腔がんは初期症状が軽いため「ただの口内炎」と思って放置されることが多く、発見が遅れることで結果的に進行した状態で見つかるケースが少なくありません。
また、舌や口の底(口底部)は血管やリンパ管が豊富で、がんがリンパ節などを介して転移しやすいことが知られています。
口腔がんの初期症状 ― 「口内炎かな?」と思ったら注意

初期の口腔がんは、痛みがほとんどないこともあります。次のような症状が2週間以上続く場合は、早めに歯科口腔外科を受診しましょう。
口内炎のような白い・赤い斑点が治らない
舌や歯ぐきにしこり・盛り上がりがある
出血しやすい、または口臭が強くなった
入れ歯が合わない、しゃべりづらい、舌が動かしにくい
特に「舌がん」は口腔がんの中で最も多く(約6割)、進行が早いタイプとして知られています。特に喫煙・飲酒機会が多い方は定期的な検診を推奨します。
口腔がんの主な治療法
口腔がんの治療は、手術が中心です。がんの範囲が小さい場合は、切除で完治を目指せます。一方、進行している場合は次のような組み合わせ治療が行われます。
手術+放射線治療
残ったがん細胞を狙って照射し、再発を防ぎます。
化学療法(抗がん剤)+放射線治療
切除が難しい場合や再発時に用いられます。
免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)
ニボルマブ(オプジーボ®)などの薬が代表です。
当院の治療:免疫チェックポイント阻害剤
新しい免疫治療の可能性
最近では、「自分の免疫を強くしてがんを攻撃する」免疫細胞療法も注目されています。
例えば:
αGalCer樹状細胞ワクチン療法
がん細胞の攻撃役であるNKT細胞を活性化し、がんに対する免疫応答を高める治療。
NKT細胞の補充療法(商品:NKT三種免疫細胞療法)
がん抑制に重要なNKT細胞を体内に増やし、免疫力を底上げする。
関連コラム:NKT細胞とα-GalCer樹状細胞ワクチン療法
これらを組み合わせた治療は、口腔がんにおいては、安全性と有望な免疫学的な応答を起こすことが示されています。臨床での使用はまだまだ探索的ですが、少しづつエビデンスは蓄積されてきています。
早期発見で口腔がんは“治るがん”に
口腔がんは、早期に見つけて治療すれば治る確率が高まるとされています。逆に、進行してから見つかると、治療後の発音や食事に影響が出ることもあります。
だからこそ、
長く治らない口内炎
舌や歯ぐきのしこり
出血や違和感
を感じたら、「様子をみる」よりも「早めに相談」することが大切です。
まとめ
口腔がんは、見つかった時には転移していることが多い。
初期は痛みが少なく、口内炎と間違えやすい。
早期発見できれば治る可能性が高い。
標準治療に加え、免疫療法(特にNKT細胞活性化療法)が新たな選択肢に。
―あなたの「いつもと違う口内炎」が、早期発見のきっかけになるかもしれません。鏡で口の中をチェックする習慣が、命を守る第一歩です。
当院はがん免疫療法専門のクリニックです。
銀座鳳凰クリニックは、「患者様の『生きる』にすべてを尽くす」をモットーに、転移がんや進行がんの患者様に対して免疫細胞治療を専門的に提供しています。

当院では、患者様ご自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で増殖・活性化させた後、再び体内に戻すことで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し攻撃するよう促す治療を行っています。
主な治療法としては、
など患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療法を提案しています。
※治療の適応や併用の可否に関しては医師にご相談ください。
さらに、院内に細胞培養加工施設を併設しているため、採取から培養・品質管理・投与までを院内で完結でき、外来通院で治療を受けていただけます。
銀座鳳凰クリニックは、患者様一人ひとりのがんの状態やご希望に合わせて、そのときどきで最適な治療をきめ細かくご提案しています。
標準治療が難しいと診断された方や、治療の選択肢に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。
-がん治療・免疫療法について-

■記事監修
銀座鳳凰クリニック医師
柳井 啓文
医師・医学博士。救急・集中治療医としてドクターヘリなどの救命最前線で重症患者の治療に携わる一方、オーストラリアで基礎・臨床研究に従事し複数の国際研究グループを主導、100編超の英語論文を発表。救急現場で培った判断力と先端研究で得た科学的視点を併せ持ち、再生医療・細胞治療の医療実装を推進している。





