子宮がん ステージ4〜余命・生存率・治療と向き合うために〜
- 院長 永井 恒志
- 2 日前
- 読了時間: 5分

「ステージ4の子宮がん」と聞くと、多くの患者さんやご家族が「もう治療法がないのではないか」「余命はどのくらいだろう」と、不安な気持ちでいっぱいになるかもしれません。 しかし、ステージ4であっても、がんとともに生活しながら、治療を続けている方はたくさんいます。
本記事では、子宮がんのステージ4とは何か、生存率や余命の考え方、治療法、そして今できることについて、前向きに分かりやすく解説します

子宮がんとは?2種類のがんがある
「子宮がん」とは、女性の子宮にできるがんの総称ですが、実は2つのタイプに分かれます。
子宮頸がん
子宮の入り口(頸部)にできるがん
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因
若い女性にも発症しやすく、早期発見で完治可能
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮の奥にある内膜に発生
閉経後の女性に多く、女性ホルモン(エストロゲン)の影響が関与
ステージ4では、いずれもがんが骨盤外や他の臓器(肺・肝臓・骨など)に転移している状態です。
ステージ4 子宮がんの特徴と症状
子宮がんのステージ4は、以下のように定義されます。
ステージⅣA:がんが膀胱や直腸の粘膜に浸潤
ステージⅣB:遠隔臓器(肺、肝臓、骨など)へ転移
症状としては:
不正出血(閉経後でも)
下腹部の重い痛み、腰痛
排尿・排便の違和感や痛み
むくみ(リンパ節転移による)
息切れや咳(肺転移)
などがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
ステージ4 子宮がんの生存率と余命
国立がん研究センターのデータによると、ステージ4子宮がんの5年相対生存率は約15~25%程度とされています。
ただし、がんの種類(頸部 or 体部)、患者の体力、転移の部位・数、治療歴などによって大きく異なります。
「余命」は医師が過去の統計や経験に基づいて伝える「目安」であり、あなた自身の人生の時間ではありません。
事実、ステージ4と診断されながらも、数年以上治療を続け、穏やかに生活されている方も少なくありません。
ステージ4でも行える治療とは?
たとえステージ4であっても、がんの進行を遅らせ、症状を和らげ、生活の質を守るための治療が数多くあります。
抗がん剤(化学療法)
シスプラチン、パクリタキセルなどが用いられる
再発や遠隔転移がある場合の基本治療
全身に効くため、複数の転移に対応可能
放射線治療
骨盤内の出血・痛み・排尿障害などの症状緩和に有効
局所制御とQOLの維持を目的に使われます
分子標的薬・免疫療法(研究段階含む)
一部の子宮体がんではMSI-HやdMMR(DNA修復異常)があると、免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブなど)が使われることも
個別化医療に向けて、遺伝子検査の活用が広がっています
ホルモン療法(子宮体がんの一部)
エストロゲンの影響を受けるがんに対し、内服薬や注射で進行を抑える
緩和ケアと共に治療を進めるという選択
ステージ4と診断されると、「もう治療できない」「緩和ケアしかない」と誤解されることがあります。
しかし、実際には緩和ケアと治療の“併用”が現代医療の基本です。
緩和ケアは、痛みや不安、吐き気、便秘、倦怠感など、生活の中で感じる“つらさ”を和らげ、治療と両立するための支えです。
一人で抱え込まず、がん専門医、緩和ケア医、看護師、ソーシャルワーカー、心理士など多職種のチームと共に治療に向き合っていくことが、穏やかな毎日を支えます。
家族と過ごす時間、自分らしく生きる時間を支える医療
治療の目的が「完治」ではなくなっても、「生きる意味」は変わりません。
「家族と1日でも長く過ごしたい」
「痛みなく、穏やかに生活したい」
「好きな音楽や食事を楽しみたい」
その願いを叶えるための医療こそ、ステージ4における“希望の治療”です。
まとめ:ステージ4でも“できること”はたくさんある
子宮がんのステージ4――確かに厳しい状況かもしれません。 でも、あきらめる必要はありません。
医学は日々進化しており、個別化医療や免疫療法、緩和ケアとの併用など、できることは確実に増えています。
大切なのは、「もう終わり」と思うことではなく、「これからどう生きるか」を一緒に考えること。
あなたの意思と医療チームの力を信じて、前に進んでいきましょう。
-がん治療・免疫療法について-
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