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子宮がん ステージ4〜余命・生存率・治療と向き合うために〜

  • 執筆者の写真: 院長 永井 恒志
    院長 永井 恒志
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

※イメージ画像

「ステージ4の子宮がん」と聞くと、多くの患者さんやご家族が「もう治療法がないのではないか」「余命はどのくらいだろう」と、不安な気持ちでいっぱいになるかもしれません。 しかし、ステージ4であっても、がんとともに生活しながら、治療を続けている方はたくさんいます。

 

本記事では、子宮がんのステージ4とは何か、生存率や余命の考え方、治療法、そして今できることについて、前向きに分かりやすく解説します


銀座鳳凰クリニック院長 永井恒志
■記事を書いた人
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。



 


子宮がんとは?2種類のがんがある


「子宮がん」とは、女性の子宮にできるがんの総称ですが、実は2つのタイプに分かれます。

 


子宮頸がん


  • 子宮の入り口(頸部)にできるがん

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因

  • 若い女性にも発症しやすく、早期発見で完治可能



子宮体がん(子宮内膜がん)


  • 子宮の奥にある内膜に発生

  • 閉経後の女性に多く、女性ホルモン(エストロゲン)の影響が関与

 

ステージ4では、いずれもがんが骨盤外や他の臓器(肺・肝臓・骨など)に転移している状態です。




ステージ4 子宮がんの特徴と症状


子宮がんのステージ4は、以下のように定義されます。

  • ステージⅣA:がんが膀胱や直腸の粘膜に浸潤

  • ステージⅣB:遠隔臓器(肺、肝臓、骨など)へ転移

 

症状としては:

  • 不正出血(閉経後でも)

  • 下腹部の重い痛み、腰痛

  • 排尿・排便の違和感や痛み

  • むくみ(リンパ節転移による)

  • 息切れや咳(肺転移)

 

などがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。

 



ステージ4 子宮がんの生存率と余命


国立がん研究センターのデータによると、ステージ4子宮がんの5年相対生存率は約15~25%程度とされています。


ただし、がんの種類(頸部 or 体部)、患者の体力、転移の部位・数、治療歴などによって大きく異なります。

 

「余命」は医師が過去の統計や経験に基づいて伝える「目安」であり、あなた自身の人生の時間ではありません。

 

事実、ステージ4と診断されながらも、数年以上治療を続け、穏やかに生活されている方も少なくありません。




ステージ4でも行える治療とは?


たとえステージ4であっても、がんの進行を遅らせ、症状を和らげ、生活の質を守るための治療が数多くあります。

 


抗がん剤(化学療法)


  • シスプラチン、パクリタキセルなどが用いられる

  • 再発や遠隔転移がある場合の基本治療

  • 全身に効くため、複数の転移に対応可能



放射線治療


  • 骨盤内の出血・痛み・排尿障害などの症状緩和に有効

  • 局所制御とQOLの維持を目的に使われます



分子標的薬・免疫療法(研究段階含む)


  • 一部の子宮体がんではMSI-HやdMMR(DNA修復異常)があると、免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブなど)が使われることも

  • 個別化医療に向けて、遺伝子検査の活用が広がっています



ホルモン療法(子宮体がんの一部)


  • エストロゲンの影響を受けるがんに対し、内服薬や注射で進行を抑える




緩和ケアと共に治療を進めるという選択


ステージ4と診断されると、「もう治療できない」「緩和ケアしかない」と誤解されることがあります。


しかし、実際には緩和ケアと治療の“併用”が現代医療の基本です。


緩和ケアは、痛みや不安、吐き気、便秘、倦怠感など、生活の中で感じる“つらさ”を和らげ、治療と両立するための支えです。


一人で抱え込まず、がん専門医、緩和ケア医、看護師、ソーシャルワーカー、心理士など多職種のチームと共に治療に向き合っていくことが、穏やかな毎日を支えます。




家族と過ごす時間、自分らしく生きる時間を支える医療


治療の目的が「完治」ではなくなっても、「生きる意味」は変わりません。


  • 「家族と1日でも長く過ごしたい」

  • 「痛みなく、穏やかに生活したい」

  • 「好きな音楽や食事を楽しみたい」


その願いを叶えるための医療こそ、ステージ4における“希望の治療”です。

 



まとめ:ステージ4でも“できること”はたくさんある


子宮がんのステージ4――確かに厳しい状況かもしれません。 でも、あきらめる必要はありません。

 

医学は日々進化しており、個別化医療や免疫療法、緩和ケアとの併用など、できることは確実に増えています。

 

大切なのは、「もう終わり」と思うことではなく、「これからどう生きるか」を一緒に考えること。


あなたの意思と医療チームの力を信じて、前に進んでいきましょう。




-がん治療・免疫療法について-



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