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がん免疫療法を専門とする自由診療クリニック

尿管がん 〜症状・進行・治療・余命と向き合うために〜

  • 執筆者の写真: 院長 永井 恒志
    院長 永井 恒志
  • 6 日前
  • 読了時間: 4分

尿管がんを示すイラスト

「尿管がん」と診断されると、「どんな病気なのか」「治る可能性はあるのか」「どのくらい生きられるのか」――多くの疑問や不安が押し寄せることと思います。


尿管がんは、尿路の中でも比較的まれな悪性腫瘍で、早期発見が難しく、進行が早いことが特徴です。


今回は、尿管がんの初期〜末期の症状、進行速度、治療方法、そして余命・生存率について詳しくご紹介します。


銀座鳳凰クリニック院長 永井恒志
■記事を書いた人
銀座鳳凰クリニック院長
永井 恒志
医師、医学博士(東京大学)、東海大学大学院客員准教授。東京大学医学部附属病院内科研修医を経て、東京大学大学院医学系研究科の文部教官時代に大型放射光施設SPring8を利用した多施設共同研究(国立循環器病研究センター、東海大学ほか8研究機関)をリードし、多数の国際医学雑誌に論文を発表した。




尿管がんとは?


尿管がんを示すイラスト

尿管がんは、腎臓から膀胱へ尿を送る“尿管”にできるがんで、医学的には「上部尿路上皮がん」に分類されます。膀胱がんと同じく尿路上皮(移行上皮)から発生します。

 

発症頻度は全がんの1%未満と少なく、60代以上の男性に多く見られます


片側の尿管にできることがほとんどですが、腎盂(腎臓内の尿の集まる場所)にもがんがある場合は「腎盂尿管がん」として扱われます。




尿管がんの初期症状と進行のサイン


トイレで不調を感じている女性のイラスト

尿管がんは初期の自覚症状が少なく、以下のような症状が出て初めて発見されるケースが多いです。

 

【初期症状】

  • 肉眼的血尿(赤い尿、ピンク色の尿)

  • 尿検査での潜血反応(自覚なしでも出現)

  • 排尿時の違和感や軽い痛み


【進行時の症状】

  • 側腹部や背中の鈍い痛み(尿の流れがせき止められる)

  • 腎機能の低下(尿が腎臓に逆流する)

  • 尿管の閉塞による水腎症

  • 感染や発熱を繰り返す

 

尿路は一度がんができると広がりやすく、腎臓・膀胱・周囲のリンパ節や肺・骨などに転移する可能性もあります。




尿管がんの進行速度と診断時のステージ


尿管がんは、腎臓や膀胱に比べて組織が薄いため、がんが周囲に浸潤しやすく、比較的進行が早いとされます。

 

診断時における進行度(ステージ)は以下のように分類されます:

ステージ

病態

治療の選択肢

ステージⅠ〜Ⅱ

粘膜内または浅層浸潤

手術での根治が可能

ステージⅢ

筋層・脂肪層への浸潤

手術+抗がん剤併用が標準

ステージⅣ

リンパ節・遠隔転移あり

化学療法、免疫療法、緩和ケア中心




尿管がんの治療法:早期なら手術、進行例では全身治療へ


尿管がんの治療は、がんの進行度と全身状態により大きく異なります。



手術療法(根治的腎尿管摘除術)


  • 標準的治療。腎臓+尿管+膀胱の一部を一括で摘出

  • ステージⅠ〜Ⅱの患者では根治(治癒)可能性が高い

  • 片腎がなくなるため、術後の腎機能低下への配慮が必要



化学療法(抗がん剤)


  • ステージⅢ〜Ⅳでは、シスプラチン+ゲムシタビンが第一選択

  • 術後補助療法や、手術不能例の延命治療として使用

  • 腎機能によりシスプラチンが使えない場合、他の薬剤を検討



免疫チェックポイント阻害剤


  • 近年、進行尿路上皮がんに対してPD-1/PD-L1阻害薬(アテゾリズマブ、ニボルマブなど)が使用されるように

  • 化学療法後の再発や、化学療法が使えない患者にも適応あり

  • 副作用管理ができる医療施設での実施が推奨されます


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緩和ケアの導入


  • 疼痛や出血、排尿困難、感染などの症状が進んだ場合

  • 生活の質(QOL)を守り、穏やかに過ごす時間を支える治療


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尿管がんの生存率と余命


生存率はステージによって大きく異なります。


  • ステージⅠ〜Ⅱ:約70〜90%(5年生存率)

  • ステージⅢ:約40〜50%

  • ステージⅣ:10〜20%未満

 

ただし、全身状態・腎機能・年齢・合併症・治療内容によっても個人差が大きいため、「余命●ヶ月」とは一概に言えません。

 

進行が早い反面、早期発見で根治可能な症例も多く、また免疫療法の登場で延命可能性も拡がってきています



 

まとめ:早期発見と希望ある選択が鍵


尿管がんはまれながら、見逃されやすく、進行が早いがんです。 だからこそ、血尿などの小さな変化に気づき、早期発見・早期治療を進めることが重要です。


また、ステージが進んだとしても、

  • 手術

  • 抗がん剤

  • 免疫療法

  • 緩和ケア など、多くの選択肢があり、“自分に合った治療”を選ぶことができます。

 

あなた自身の命と生活を守るために、信頼できる医療チームとともに、一歩ずつ前へ進んでいきましょう。



-当院はがん免疫療法専門のクリニックです-



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