膵臓がんステージ4の生存率・原因・症状・余命と向き合う
- 院長 永井 恒志
- 2 日前
- 読了時間: 5分

「膵臓がん(すい臓がん)」は、がんの中でも「見つかりにくく、進行が早い」と言われる病気です。
特にステージ4と診断されたとき、「あとどれくらい生きられるのか」「どんな治療があるのか」という不安を抱える方が少なくありません。
ですが、たとえ完治が難しい段階でも、希望を持って前を向ける選択肢は存在します。今回は、膵臓がんステージ4について、生存率・原因・症状・余命・治療法を、わかりやすく丁寧に解説します。

膵臓がんとは?発見が難しい理由
膵臓(すいぞう)は、胃の裏側にあり、インスリンなどのホルモンや消化酵素を出す臓器です。がんができても初期症状がほとんどなく、自覚されにくいため、発見が遅れることが多いのが特徴です。
また、膵臓は周囲に血管やリンパが多く、がんがすぐに広がりやすいため、診断時にはすでに他の臓器に転移している=ステージ4とされるケースが多くあります。
膵臓がんのステージ4とは?
ステージ4とは、がんが以下のように進行している状態です。
肝臓、肺、腹膜など遠隔臓器への転移がある
腫瘍が手術で取り除けない
全身に影響が及ぶ段階(黄疸、腹水、体重減少など)
進行が早く、診断から数ヶ月で症状が悪化することもあるため、迅速な対応が重要です。
症状:初期〜末期にかけて現れる変化
膵臓がんは進行するまで症状が出にくいですが、ステージ4では以下のような症状が見られます:
食欲低下、体重減少
背中や腰の痛み(神経に広がるため)
黄疸(胆管が圧迫される)
腹水(腹膜への転移)
糖尿病の悪化・新規発症
全身のだるさ、吐き気、便秘・下痢の繰り返し
これらの症状は生活の質(QOL)を大きく低下させるため、緩和ケアと並行した治療や支援が必要です。
ステージ4膵臓がんの生存率・余命
膵臓がんステージ4の5年生存率は約3~5%程度とされ、がんの中でも最も予後が厳しい部類に入ります。 しかしこれはあくまで「統計的な全体像」であり、近年の医療進歩により生存期間の延長も十分に可能になってきています。
FOLFIRINOX療法(多剤併用化学療法):奏効率25〜30%、平均生存期間11ヶ月以上
ナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法:副作用が比較的少なく、高齢者にも選択可能
加えて、がんの悪化速度や免疫状態には個人差があり、「2年以上元気に生活している」という方も少なくありません。
膵臓がんの原因とリスク因子
膵臓がんは、はっきりした原因がわかりにくいがんの一つですが、以下のようなリスク因子が知られています。
喫煙歴
糖尿病(特に新しく発症したもの)
慢性膵炎
膵のう胞(IPMNなど)
遺伝的素因(家族に膵がん患者がいる)
肥満・高脂肪食・アルコール多飲
特に糖尿病との関連性が深く、「40代以降で急に糖尿病になった方」は膵がんの早期発見につながるサインとされています。
ステージ4でも可能な治療法
根治(完治)は難しい段階ですが、延命やQOLの維持を目的とした治療は多く存在します。
化学療法(抗がん剤)
FOLFIRINOX:若くて体力のある方向け。副作用は強めだが高い効果。
ゲムシタビン+ナブパクリタキセル:標準的な治療。副作用も比較的抑えられる。
分子標的薬・臨床試験
BRCA変異がある方には、PARP阻害剤(オラパリブ)が選択されることも。
がん遺伝子パネル検査を通じて、臨床試験(治験)への参加が検討される場合もあります。
免疫療法(一部の症例で)
膵がんは「免疫が効きにくいがん(cold tumor)」とされますが、免疫細胞療法や樹状細胞ワクチン療法などが一部で実施されています。
海外では腫瘍溶解ウイルス+免疫チェックポイント阻害剤の研究も進行中です。
腫瘍溶解ウイルスとは?
緩和ケアと共に歩む治療戦略
膵がんステージ4では、治療の効果と体への負担のバランスが重要になります。 そのため、痛み、黄疸、消化不良などのつらい症状に対しては、早期からの緩和ケア導入が推奨されます。
緩和ケアは“治療の終わり”ではなく、「あなたらしく生活を続けるための医療」です。 がんと闘いながら、笑顔を取り戻すためのサポートも大切にしてください。
まとめ:「もうできることはない」と言わないで
膵臓がんステージ4――確かに厳しい診断かもしれません。 ですが、医学は日々進歩しており、“治らなくても生きる”時代に突入しています。
あなたのがんには、あなたにしかないストーリーがあります。
「もうできることはない」ではなく、「今できることを一つずつ見つけていく」。それが、希望につながります。
当院の免疫療法
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